2023/11/10 拠点メンバー(荒川賢治准教授グループ)の研究成果がJournal of Natural Products誌に掲載され、プレスリリースを行いました。
【アゾキシアルケン化合物生産菌から新規ヒドラジドアルケン化合物を単離 〜窒素・窒素結合形成酵素の基質認識多様性〜】
Streptomyces属放線菌は、抗生物質をはじめとする多種多様な生理活性物質を二次代謝産物として生産することが知られており、ヒト・動物などにおける生理作用調節機能を有する物質も多く見出されています。
広島大学大学院統合生命科学研究科(旧 大学院先端物質科学研究科)・広島大学健康長寿研究拠点の荒川賢治准教授の研究グループは、以前、放線菌Streptomyces rpchei 7434AN4株の三重遺伝子変異株(KA57株)がアゾキシアルケン化合物KA57Aを生産することを見いだし、ゲノムマイニングによる「休眠」二次代謝の覚醒に成功しました。今回も新規化合物の獲得を目指し、本株の微量代謝産物の解析を行ったところ、2つのUV活性化合物KA57D1, KA57D2の蓄積を見いだしました。KA57D1は分子式C12H22N2O2をもつ新規ヒドラジドアルケン化合物(Z)-N-acetyl-N’-(hex-1-en-1-yl)isobutylhydrazide、KA57D2は分子式C13H24N2O2をもつ新規ヒドラジドアルケン化合物(Z)-N-acetyl-N’-(hex-1-en-1-yl)-2-methylbutanehydrazideと決定しました。KA57A, KA57D1, KA57D2はいずれも異なるアミノ酸を出発原料としていることから、本菌で見いだされた窒素・窒素結合形成酵素は、染料や抗菌剤、化学合成原料など新たな窒素・窒素含有化合物の「ものづくり」に利用できます。
本研究成果は、2023年8月25日にアメリカ化学会の学術誌「Journal of Natural Products」に掲載され、当該号の表紙に採用されました。
掲載誌へのリンク:10.1021/acs.jnatprod.3c00476
広島大学プレスリリースへのリンク:https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/80118