ジョスリン 糖尿病センターとボストンのホリデーシーズン
小川 貴史
私は2018年4月から日本学術振興会「国際的な活躍が期待できる研究者の育成事業」の支援のもと、ハーバード大学医学部の関連医療機関であるジョスリン糖尿病センター(以下JDC)のT. Keith Blackwell教授の研究室に留学しています。Blackwell教授の研究室では、ヒトのモデルとなる生物の線虫やヒト由来の細胞を用いて、インスリンシグナルの下流ではたらくストレス応答に関わる転写因子NRF(線虫のSKN-1)機能や制御機構を中心に、健康・長寿に関わる分子の制御機構の解析を行なっています。現在、私は寿命延長に関わる栄養応答因子mTORC1の制御機構の解析をしています。今回は、JDCとボストンのホリデーシーズンについて紹介します。
JDCは、1898年にElliott P. Joslin博士により、世界初の糖尿病専門クリニックとして創設されました。Joslin博士は、世界で初めて糖尿病患者の症状と経過の記録を取り、食事や運動による治療を実践しました。さらに、世界で最初の糖尿病治療の本「A Diabetic Manual for the Mutual Use of Doctor and Patient」を執筆し、予防および治療の礎を築いたことから「糖尿病学の父」と称されています。JDCでは、年間2万人以上の患者の治療が行われながら、基礎研究が重視され、糖尿病および合併症の完治を目指した最新の研究成果が次々と発表されています。
11月の終わりにサンクスギビングデー(感謝祭)があり、アメリカではホリデーシーズンが始まります。
この時期は、友人や同僚を招いてパーティーが行われたり、各地でイベントが催されたりしました。JDCでは、職員や患者さんのために、祝日にちなんだイベントを開催しており、クリスマスは職員各自が料理を持ち寄るパーティーが催され、交流を楽しむことができました。
渡米して8ヶ月が経ちましたが、研究技術や研究の発展の仕方などを学び、充実した日々を過ごしています。引き続き、健康・長寿の実現に貢献できるように、研究に取り組みたいと思います。最後になりましたが、このような機会を与えてくださる本プログラムに深く御礼申し上げます。次回は、自身の研究内容と、他研究室や研究施設との連携について紹介したいと思います。