拠点メンバーの上野准教授、Murray博士の国際共同研究成果がPLoS One誌に掲載されました

拠点メンバーの上野准教授、Murray博士の国際共同研究成果がPLoS One誌に掲載されました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5679574/

著者:Shamim HM, Minami Y, Tanaka D, Ukimori S, Murray JM, Ueno M.
タイトル:Fission yeast strains with circular chromosomes require the 9-1-1 checkpoint complex for the viability in response to the anti-cancer drug 5-fluorodeoxyuridine.
PLoS One. 2017 Nov 9;12(11):e0187775. doi: 10.1371/journal.pone.0187775. eCollection 2017.

【内容】
ある種のがんは高頻度に環状染色体を持つが、環状染色体が生体内でどのように維持されているのかはほとんど研究されていません。本研究は、遺伝子改変によって環状染色体を持たせた分裂酵母を用いて、環状染色体の安定性に影響を及ぼす遺伝子や薬剤を調べたところ、以下の2つを発見しました。
(1) アメリカで腎臓がんの第1選択薬として使用される抗がん剤フロクスウリジンは、その薬剤を活性化する遺伝子を持たない分裂酵母においてDNA複製を阻害する。
(2) DNAダメージチェックポイント因子であるRad9-Rad1-Hus1(9-1-1)複合体は、フロクスウリジンやDNA複製を阻害する抗がん剤(ヒドロキシカルバミド)の存在下における環状染色体の維持に必須である。
もし上記の発見がヒトにも当てはまれば、DNAダメージチェックポイント阻害剤とDNA複製阻害剤の併用が、高頻度に環状染色体を持つがん細胞(例えば、高分化型脂肪肉腫)を効率的に死滅させる可能性を示唆しています。